多摩丘陵フットパス専門家講座 岡上のバラガーデンから玉川学園、 町田へ
2021.05.30
多摩丘陵フットパス専門家講座 岡上のバラガーデンから玉川学園、 町田へ
[講師:高見澤 邦郎 ]
急階段や尾根道がつなぐ豊かな日常
5月30日(日) 天気:晴 (一時雨) 参加者:11名 フットパスガイドマップの3と4をつなげて、
尾根と谷戸を、緑と住宅をという企画です(電車なら10分ちょっとですが)。朝10時、小田急線鶴川駅北口改札に集合し、町田寄りの踏切を渡って直進、鶴見川を渡って最初に立ち寄ったのが「さんかくガーデン」。道路と水路に挟まれた小さな土地を四季折々の草花でよみがえらせた住民管理の広場です。
「さんかくガーデン」は花一杯
先を急ぐので尾根に上がらずそのまま和光大学 方向へ。左に岡上の急坂の住宅地、右にわずかに 残った田んぼが見える道を10分ほど歩くと、建築 工房があって「季の庭」の表示が。この庭は上の 斜面にあった2軒の住宅が取り壊された跡地を工 房の夫妻が購入して開園したとのこと。この季節 はバラが美しいガーデンですが、残念ながらコロ ナ禍で閉鎖中。手前の急坂を登って上から眺めて みました。庭の向こうに大学が見えます。
手前が「季の庭」
さらに急な階段を上がって尾根道に到達。左側 の谷戸は川崎市の緑地保全地区に指定された樹林 帯で、右側には結構昔に建ったとおぼしい住宅が 続きます。やがて道は細くなり、都県境の標識が 地表に打たれているあたりからは左右とも玉川大 学の構内で、農学部の牛舎もありました。
牛舎が残っていました(浅黄)
さて道はそのまま玉川大学の構内に入ります。 手入れのいいキャンパスに並ぶ校舎を見ながら進 むと、再び左側に住宅が並ぶように。このあたり、 鎌倉古道沿いで住所は横浜市奈良町ながら、もう 玉川学園前駅にほど近い住宅地。左に奈良北団地 に下りる信号を越えたあたりから丘と谷戸の風景 が広がり、道沿いにニラハウス(作家・赤瀬川源 平さんが住んだ家)も。そのまま下って小田急線 踏切、そして駅。12時前に到着し、南口の和食屋 さんとイタリアンの店に分かれて昼食をとりまし た。
以前は屋根にニラが植えてありました
かしの木山公園入口
午後の部は、まず1週間前に建替えオープンの学 園駅前コミュニティセンターを見学。
新装なった「玉川学園コミュニティセンター」(浅黄)
右に下って恩田川を渡ります。長い道のりで皆 さんお疲れ、「こがさかベイク」のカフェでお茶 タイムを取ることに。
「こがさかベイク」で一休み(浅黄)
東側に道をとって急坂を登り、再び鎌倉古道を 進みます。住宅地を抜けると右側に三井住友海上 のグラウンド(手前に町田市街地、遠くに丹沢・ 大山が望める)、左側は深い緑の昭和薬科大学。 さらに進んで元からの樹林を保全している「かし の木山自然公園(通称どんぐり山公園)」を歩き、 南の出入口から住宅地の中を行くと「鞍掛の松」 の碑(鎌倉攻めのとき新田義貞がここで休んだ) のある小さな公園に出ました。
休憩後、高ヶ坂遺跡(縄文中期の敷石住居跡)、 熊野神社を経て最終目的地の「芹が谷公園」に到 着。国内では唯一とされる版画専門の「国際版画 美術館」があります。公園は水と緑に恵まれた一 帯で、小さな子ども連れの家族がたくさん訪れて いました。
芹が谷公園の入口に国際版画美術館が建つ
動く彫刻、水がザーッと落ちてくる
雲行きが怪しいなと思ったら夕立がきて、公園 の東屋でしばし雨宿り。小やみになったところで 町田駅へ向かい、4時過ぎに解散しました。
川崎市から出発し横浜市をかすめ町田市へと結 構歩いたわけですが、谷戸の風景、丘陵の住宅地、 緑につつまれた学園や公園などを楽しむことがで きました。なおこのコース、トイレが駅前と公園 にしかないことにご注意ください。
( 文と写真:高見澤 邦郎 )
点 と 線
今回のルートはいずれもよく見聞きしている場 所でしたが「点」を知っていただけで、フットパ スでそれらを結ぶ「線」を歩くことができ、面白 い経験でした。以前、和光大学から玉川学園に抜 けるルートを適当に歩きはじめ、山越え谷越えで エライ目にあったことがあります。今回、尾根沿 いルートを知り、目からウロコ。また、学園南側 尾根の、今回一緒に歩いたTさん宅の前の道は、 なんと鎌倉古道だという。「鎌倉古道沿いにお住 まい?」。歴史に隣接している暮らしのようでち ょっと羨ましい。これをきっかけに鎌倉古道その ものにも俄然興味が湧きました。
途中で立ち寄った玉川学園駅前の新装コミュニ ティセンター入口にはユニークなベンチが置かれ ています。駅前の樹齢92年の大ケヤキ 夏は大 空に緑の葉がそよぎ、冬は天に大枝を差しのべる 姿が「いってらっしゃい」「おかえり」と言って いるようでした。それが枯死し2017年に切り倒さ れたのを、町の人たちが希望して蘇らせたのです。 それが町内在住の木彫家・前田忠一(ただかず)さ んにより姿を変えてお目見えしています。背板の 両面には町田市の鳥・カワセミ、ウサギ、イヌ、 バク、ミミズクたちが浅彫りされ「ようこそ」
「またね」と。
大ケヤキがベンチになった(浅黄)
( 文:塩澤 珠江 )
[講師:高見澤 邦郎 ]
急階段や尾根道がつなぐ豊かな日常
5月30日(日) 天気:晴 (一時雨) 参加者:11名 フットパスガイドマップの3と4をつなげて、
尾根と谷戸を、緑と住宅をという企画です(電車なら10分ちょっとですが)。朝10時、小田急線鶴川駅北口改札に集合し、町田寄りの踏切を渡って直進、鶴見川を渡って最初に立ち寄ったのが「さんかくガーデン」。道路と水路に挟まれた小さな土地を四季折々の草花でよみがえらせた住民管理の広場です。
「さんかくガーデン」は花一杯
先を急ぐので尾根に上がらずそのまま和光大学 方向へ。左に岡上の急坂の住宅地、右にわずかに 残った田んぼが見える道を10分ほど歩くと、建築 工房があって「季の庭」の表示が。この庭は上の 斜面にあった2軒の住宅が取り壊された跡地を工 房の夫妻が購入して開園したとのこと。この季節 はバラが美しいガーデンですが、残念ながらコロ ナ禍で閉鎖中。手前の急坂を登って上から眺めて みました。庭の向こうに大学が見えます。
手前が「季の庭」
さらに急な階段を上がって尾根道に到達。左側 の谷戸は川崎市の緑地保全地区に指定された樹林 帯で、右側には結構昔に建ったとおぼしい住宅が 続きます。やがて道は細くなり、都県境の標識が 地表に打たれているあたりからは左右とも玉川大 学の構内で、農学部の牛舎もありました。
牛舎が残っていました(浅黄)
さて道はそのまま玉川大学の構内に入ります。 手入れのいいキャンパスに並ぶ校舎を見ながら進 むと、再び左側に住宅が並ぶように。このあたり、 鎌倉古道沿いで住所は横浜市奈良町ながら、もう 玉川学園前駅にほど近い住宅地。左に奈良北団地 に下りる信号を越えたあたりから丘と谷戸の風景 が広がり、道沿いにニラハウス(作家・赤瀬川源 平さんが住んだ家)も。そのまま下って小田急線 踏切、そして駅。12時前に到着し、南口の和食屋 さんとイタリアンの店に分かれて昼食をとりまし た。
以前は屋根にニラが植えてありました
かしの木山公園入口
午後の部は、まず1週間前に建替えオープンの学 園駅前コミュニティセンターを見学。
新装なった「玉川学園コミュニティセンター」(浅黄)
右に下って恩田川を渡ります。長い道のりで皆 さんお疲れ、「こがさかベイク」のカフェでお茶 タイムを取ることに。
「こがさかベイク」で一休み(浅黄)
東側に道をとって急坂を登り、再び鎌倉古道を 進みます。住宅地を抜けると右側に三井住友海上 のグラウンド(手前に町田市街地、遠くに丹沢・ 大山が望める)、左側は深い緑の昭和薬科大学。 さらに進んで元からの樹林を保全している「かし の木山自然公園(通称どんぐり山公園)」を歩き、 南の出入口から住宅地の中を行くと「鞍掛の松」 の碑(鎌倉攻めのとき新田義貞がここで休んだ) のある小さな公園に出ました。
休憩後、高ヶ坂遺跡(縄文中期の敷石住居跡)、 熊野神社を経て最終目的地の「芹が谷公園」に到 着。国内では唯一とされる版画専門の「国際版画 美術館」があります。公園は水と緑に恵まれた一 帯で、小さな子ども連れの家族がたくさん訪れて いました。
芹が谷公園の入口に国際版画美術館が建つ
動く彫刻、水がザーッと落ちてくる
雲行きが怪しいなと思ったら夕立がきて、公園 の東屋でしばし雨宿り。小やみになったところで 町田駅へ向かい、4時過ぎに解散しました。
川崎市から出発し横浜市をかすめ町田市へと結 構歩いたわけですが、谷戸の風景、丘陵の住宅地、 緑につつまれた学園や公園などを楽しむことがで きました。なおこのコース、トイレが駅前と公園 にしかないことにご注意ください。
( 文と写真:高見澤 邦郎 )
点 と 線
今回のルートはいずれもよく見聞きしている場 所でしたが「点」を知っていただけで、フットパ スでそれらを結ぶ「線」を歩くことができ、面白 い経験でした。以前、和光大学から玉川学園に抜 けるルートを適当に歩きはじめ、山越え谷越えで エライ目にあったことがあります。今回、尾根沿 いルートを知り、目からウロコ。また、学園南側 尾根の、今回一緒に歩いたTさん宅の前の道は、 なんと鎌倉古道だという。「鎌倉古道沿いにお住 まい?」。歴史に隣接している暮らしのようでち ょっと羨ましい。これをきっかけに鎌倉古道その ものにも俄然興味が湧きました。
途中で立ち寄った玉川学園駅前の新装コミュニ ティセンター入口にはユニークなベンチが置かれ ています。駅前の樹齢92年の大ケヤキ 夏は大 空に緑の葉がそよぎ、冬は天に大枝を差しのべる 姿が「いってらっしゃい」「おかえり」と言って いるようでした。それが枯死し2017年に切り倒さ れたのを、町の人たちが希望して蘇らせたのです。 それが町内在住の木彫家・前田忠一(ただかず)さ んにより姿を変えてお目見えしています。背板の 両面には町田市の鳥・カワセミ、ウサギ、イヌ、 バク、ミミズクたちが浅彫りされ「ようこそ」
「またね」と。
大ケヤキがベンチになった(浅黄)
( 文:塩澤 珠江 )