•  フットパス活動の記録

フットパス専門家講座 阿佐ヶ谷から西永福町までを歩く
2024.11.09
[ 講師: 浅黄 美彦 ]
武蔵野に象徴される東京の郊外を探訪
11月9日(土) 天気:晴 参加者:23名

 阿佐ヶ谷といえば中央線沿線の代表的な郊外住宅地であり、文士が住み名画座がありながら、北口の飲み屋街、パールセンターなど古い商店街がある様々な顔をもつまちです。今回の阿佐ヶ谷フットパスでは、そうした阿佐ヶ谷らしい場所も通りつつ、「武蔵野に象徴される東京の郊外を川・古道・神社・商店街など」をチェックポイントに、武蔵野の原風景(古層)も訪ねてみました。JR中央線阿佐ヶ谷駅南口に集合。ざっとコースのアウトラインを説明し、まずは駅から見える「中杉通り」と「阿佐ヶ谷パールセンター」という新旧の道を眺めてみました。
 戦後すぐ、青梅街道から阿佐ヶ谷駅をまっすぐに結ぶ都市計画道路と並行した古道にある阿佐ヶ谷パールセンター。東京都初の歩行者専用道指定されたアーケード商店街は、中杉道路があってこその人のための道として栄えたようです。新旧の道が支え合ってまちの魅力となっている稀有な事例でもあります。その古道を北へ少し歩くと、かつてのケヤキ屋敷を抜け、阿佐ヶ谷神明宮を訪ねました。村々を結ぶ古道は、集落の道と繋がり、旧家と神社のある村の構造を垣間見せてくれます。


阿佐ヶ谷パールセンター


中杉通りのケヤキ並木

 阿佐ヶ谷の総鎮守から南へ歩き、古本屋のある小さなアーケード、飲み屋街の細道を抜け、名画座「ラピュタ阿佐ヶ谷」を訪ね、再び阿佐ヶ谷パールセンターへ。少し曲がった道の商店街には道祖神もあり、この道が古い道であることを教えてくれます。


阿佐ヶ谷神明宮にて参加者のみなさまと
(写真:田邊)

 青梅街道を横切り、戦前からの郊外住宅地にある「ドーモ・アラベスカ」へ。参加者の山本さんの計らいとオーナーの富田さんのご好意により、住宅の内部を見ることができました。


ドーモ・アラベスカ外観

 富田玲子さん設計の素敵な住宅をあとに、緩やかな坂を下ると旧阿佐ヶ谷住宅跡地に出ます。現在は高級マンションが建っています。日本住宅公団のエース津端修一と前川國男事務所の大高正人らによる珠玉のテラスハウスが集合する団地で、そのありようを語りながら善福寺川に向かいました。


かつての阿佐ヶ谷団地

 ここからは善福寺川沿いの気持ちのいい道を南に歩きます。この心地よい空間は、戦前の風致地区指定、昭和30年代初めの都市計画緑地・公園の決定など、都市計画の成果のひとつでもあります。その公園内にある「孤独のグルメ」でも登場した釣り堀のある食堂「武蔵野園」で昼食としました。


武蔵野園

 昼食後はのんびりとさらに川沿いを下り、杉並博物館へ。ここはかつての嵯峨侯爵別邸、愛新覚羅浩はこの場所から結婚式場となる九段会館までパレードした歴史ある地でもあります。緑濃い善福寺川の周辺は、戦前富裕者の別邸が点在していた場所であったことを教えてくれます。


杉並博物館にて集合写真(写真:田邊)

 いよいよ最後の目的地、大宮八幡宮へ。このあたりは、善福寺川沿いの緑地と特別緑地保全地区に指定されている神社の緑地が折り重なり、深い森のように見えます。中央線阿佐ヶ谷駅近くの阿佐ヶ谷八幡宮から、古道と川沿いを歩いていただき、井の頭線西永福町駅近くの大宮八幡宮というルートで、ちょっと変わった杉並の姿を見ていただきました。


善福寺川と緑地


大宮八幡宮
(文と写真:浅黄 美彦)

憧れのドーモ・アラベスカに感動!


 私はかつて、吉祥寺と西荻窪からほど近い東京女子大学に通っていたので、杉並の中でも西荻は馴染みのあるまちでした。しかし阿佐ヶ谷は未開拓。阿佐ヶ谷でぱっと思いつくのは「阿佐ヶ谷姉妹」くらいでした(笑)。とはいえ 2024 年はミニシアター「ポレポレ東中野」で、杉並区に岸本聡子区長が誕生するまでの映画「映画◯月◯日、区長になる女。」を観た こともあり、私にとって杉並は23 区の中で胸熱なまち!・・・というわけで、「N P O法人みどりのゆび」の案内チラシを拝見し、ぜひにと「阿佐ヶ谷フットパス」に申し込みました。
 お天気にも恵まれ、充実の阿佐ヶ谷探訪に大満足でした。開催日の 11 月 9 日は七五三撮影の最盛期だったようで、阿佐ヶ谷神明宮は晴れ着を着た家族でいっぱい。みなさん一様に晴れやかな顔で、私も幸せのお裾分けをいただきました。賑やかな商店街を抜け、住宅地に入ると細い路地の両側には「道路拡幅反対」ののぼり旗が。
 「おお、この道が青梅街道から五日市街道までの事業予定区間である補助 133 号線なのか」と映画のロケ地を巡っているような気持ちにもなりました。その後は、内覧を楽しみにしていた象設計集団、富田玲子さんのご実家ドーモ・アラベスカ(現・高橋邸)へ。富田さんは東大の建築学科第1号の女子学生だったそうで、憧れと共に玄関をくぐりました。
 1974 年に建てられたという洞窟のような家には、多彩な蔵書や美術品、可愛らしいキッチン雑貨がギュギュッと詰まっていて、日常と非日常が渾然一体となったインテリアに直接触れられることにも感動しました。「床暖房はとっくの昔に壊れちゃって、冬は寒くて大変ですよ」とジョーク混じりに話す、富田さんの息子さんのお家解説も楽しかったです。


ドーモ・アラベスク内部
(文と写真:宇野津 暢子)
2024.11.09 23:29 | 固定リンク | フットパス