リピート希望の多かったコースです。青空に富士山がくっきりの快晴、フットパス日和でした。
渋沢駅からの富士山
ZARDの駅メロが流れる小田急線「渋沢」駅からスタートです。渋沢駅では接近メロディにZARD 「負けないで」(上りホーム)、「揺れる想い」(下りホーム)が流れます。ZARDのボーカル坂井泉水さんが、学生時代、デビュー後も使っていた駅、東口に由来の碑があります。
駅近くの「国栄稲荷神社」に寄り道。ここは昔、東西に通る矢倉沢往還と渋沢峠を経て小田原に至る小田原道が南北に交差し、大山や富士参詣をする人々で賑わったという。
国栄稲荷神社にある大山堂、矢倉沢往還の石碑
どこからも丹沢の山並みが見える快適な風景が続きます。丹沢をよく歩いた会員の佐藤(英)さんに解説をしていただきました。右から二ノ塔、三ノ塔、烏尾山、行者岳・・・塔ノ岳と山並みが続きます。
丹沢の山並みの説明
「小田急はたのテニスガーデン」から急な下り道を抜けると「四十八瀬川」の清流に出ます。市内で一番きれいな川です。
四十八瀬川を左手に、畑地や田んぼを右手に、正面に丹沢の山々の美しい景色を見ながら、川辺の小径を歩きます(下図)。9月中旬には真っ赤な彼岸花が彩り、秦野市の花の名所のひとつです。
塔ノ岳、鍋割山を源とする四十八瀬川の瀬です。このような瀬が四十八もあるのが名の由来です。
四十八瀬川の瀬
四十八瀬川から離れ、今年開通した新東名を下に見、秦野の観光農園や田園風景の小径を進むと、「県立秦野戸川公園」へ出ます。ここで昼飯を食べ。公園のランドマークの“風のつり橋”を渡ります。
県立秦野戸川公園のランドマーク“風のつり橋”
色づき出した丹沢の山々と下を流れる「水無川」の流れ、秦野台地が大きく広がっています。名物の“ザル菊”も見頃でした。
本日参加のみなさまと
県立秦野戸川公園の名物“ザル菊”
ここから、水無川の緑地を下り、市内で1軒のみ残っている作り酒屋「金井酒蔵店」に寄り、バスで渋沢駅に戻り解散しました。
(文と写真:田邊博仁)
再び計画されたわけがわかりました。
初めて参加しました。小田急沿線に住んでいますが、スタートの「渋沢」駅に降りたのは初めて。沿線で標高が一番「高い駅」であり、地元の共有地を駅に提供したことなどを知り、興味深かったです。
駅近くの「国栄稲荷神社」や「矢倉沢往還碑」などを見た後、「四十八瀬川」へ。秋晴れの下、大山一帯の山々がきれいに見えました。
予約してもらっている昼食の時刻に間に合うようにと、急ぎ足で川沿いの道を歩きました。北へ向かうにつれて紅葉が赤みを増して楽しめたうえ、作業をしていた地元の方に交通量の多い道のショートカットを教えてもらうなど、愉快でした。
途中では野鳥のさえずりも聞こえ、4年前に好評だったコースをもう一度計画したという理由がわかりました。
昼食は大きなかき揚げに驚き、蕎麦もおいしく人気の店であるはずです。
午後からは「神奈川県立秦野川公園」の大吊り橋や菊園を散策した後、バスで移動。駅と目的地の間でバスを利用することはありますが、今回のように途中で公共交通機関を利用するのも、場所によってはいいアイデアです。
最後の「金井酒造店」は、前回はできたという試飲が今回はコロナ禍で無理。渋沢駅で解散しましたが、秦野駅では金井酒造の酒を味わえる売店が期間限定でオープンしていて、個人的には帰りにその店に寄って楽しんできました。
(文:畑野祐一)
表丹沢の山々(写真:田邊)
金井酒造店(写真:田邊)
[ 講師:日本植物学会副会長山田隆彦]
ちょっと珍しい植物園、秋の植物観察をしましょう
11月5日(土) 天気:晴参加者:5名
薬用植物園では、薬用植物だけではなく、園芸植物、野生植物、海外のものなど種々の植物が見られます。しかもほとんどに名札が簡単な説明とともに付けられているので、その植物のことを知ることができ有り難いです。写真を撮るときには、名札も別に撮っておくと、後の写真整理も楽にできます。
この植物園にはたくさんの種類が植えられており、一日中居てもあきません。今回の観察会でぜひ見ていただきたかったのはサフランです。サフランの花は赤い雌しべがとてもきれいです。これから黄色の色素をとり、染料や香料などに使われています。特に、古代ギリシャではサフランの黄色を珍重し、王族だけが使用できるロイヤルカラーとされていました。アヤメ科の植物で西南アジア原産です。ギリシャで最初に栽培されたと言われています。花期は10~12月で、橙赤色の三本に分かれた花柱が特徴です。よく似たものにイヌサフランがあります。「イヌ」がつくと役に立たないことを意味しますが、アルカロイドを含む毒草です。花期はサフランよりも1ヵ月早く9月ごろから咲きだし、赤い雌しべはありません。私たちが訪ねたときはすでに花は終わっていました。
サフラン
次に見て欲しかった植物はカンレンボク(旱蓮木)です。中国雲南省原産で、別名をキジュ(喜寿)といいおめでたい木として、喜寿になった方に記念で贈られるという話をよく聞きますが、大木になる木をいただいてもちょっと困ります。
訪ねた時は、ちょうど実がなっていて、その形はパイプウニに似ています。別な表現をすると、ごく小さなバナナの実が球状に集まった姿をしています。果実や根には抗がん作用の成分が見つかっているそうです。
カレンボクの実
この植物園が他の植物園と違うのは、法律で禁止されているケシの栽培をしていることです。医療用や研究用の栽培ですが、監視カメラが設置された厳重な二重の鉄柵の中で栽培されており、5月には色とりどりのケシの花を鉄格子の外から楽しめます。
ケシ栽培
菊の種類もいくつか植えられています。黄色の花のキクは、シマカンギクとキクタニギクです。シマカンギクは関西以西に分布し、キクタニギク(別名アワコガネギク)は本州と九州に分布します。葉の切れ込み方とか、頭花の大きさなどの違いがありますが、パッと見た目ではよほど慣れないと区別できません。中部地方以北で黄色の花の野生のキクはキクタニギクと見てよいです。
シマカンギク キクタニギク
リュウノウギクも満開でした。名札には、「民間療法で、冷え・神経痛・浅い外傷などに入浴剤として使用」とあります。このキクは、小野路などで簡単に見られます。
リュウノウギク
アカザ(下図)の茎が残っていました。アカザは老人の杖にするには、軽くて丈夫で最適です。水戸黄門もこれを使ったとか。名札には「若葉は食用になるが、多食すると日光皮膚炎を起こす」とあります。東京近辺では、アカザシロザのほうがずっと多くみられます。アカザの赤く見える部分は、粉状毛(水毛)といい、多くの水を含む細胞で、ここに赤い色素が入っているので赤く見えます。
野草園では、リンドウが満開でした。町田の里山や晩秋の山野で咲く最後の花です。「リンドウの花びらに見られる緑色の斑点に葉緑体があり、光合成を行っていることが発見されています」と、「みどりのゆび」で一昨年、小野路を案内した多田多恵子先生が『趣味の園芸』に書かれています。名前は漢方の「竜胆」からで、センブリと同様に苦味があり、健胃剤として用います。
リンドウ
帰りは「玉川上水」沿いに玉川上水駅まで、渓流沿いに生えている木々を楽しみながら散策しました。私も皆さまと一緒になって楽しみました。(文と写真:山田隆彦)
植物の観察にお勧めのユニークな植物園でした。
初めての訪問です。医薬品の原料となる薬用植物などを収集・栽培。ケシ・アサといった麻薬や危険ドラッグがとれる植物も試験栽培しているユニークな植物園です。身近な植物含め約500種の野生植物と1,500種の栽培植物。すべてタグ付、植物名と生薬としての名前、用途などが説明され、身近な植物にこんな用途があるのかと、読むのも楽しかったです。山田先生も、よく花の写真とタグを撮りにくるそうです。その後、山野草の写真などで「東京都薬用植物園」が撮影場所として記載されている記事が目につきました。
普段は、春の花を楽しんでいる植物も、秋に実をつけている様子を見ることができました。いつもは花を見るだけですが、今回、初めてびっしりと詰まったスミレのタネを見ました。
スミレのタネ
また、春に鮮やかな黄色い花が楽しみなサンシュユですが、秋には真っ赤な実でアキサンゴの別称も。民間療法では薬用酒にして強壮剤として利用。また、ナツメの実は、乾燥した果実は食材でもありますが、タイソウ(大棗)という生薬で、葛根湯や小柴胡湯など主要な漢方処方の構成生薬だそうです。林地では、黄色いヤクシソウの群生が見事でした。
サンシュユの赤い実 ヤクシソウの群落
( 文と写真: 田邊博仁)