•  フットパス活動の記録

フットパス専門家講座 奥相模野、タツゴ(龍籠)山麓の古代集落(境川源流域)を歩く
2024.06.16
フットパス専門家講座 奥相模野、タツゴ(龍籠)山麓の古代集落(境川源流域)を歩く
[ 講師:古街道研究家 宮田 太郎 ]

古代国境・境目の地域(相模原市緑区城山)のフットパス
6月16日(日) 天気:晴 参加者:15名

 6月は気温を考え、午後の半日コースで開催。当日は横浜線のJR「相原」駅西口バスターミナル脇の広場に集合。気温30度ながら総勢15名の方が参加。バスを降りた相原地区の「水ノ口(みのくち)」は、私が若い頃に調査していた「相原の鍛冶谷戸」にあり、鉄鍛冶遺構に伴うノロ(鉄滓*てっさい)を採取したことがある地です。
 そして大きな団地「武蔵岡住宅」を抜けて境川へ…。クレソンが群生する清流が小さく「ひ」の字型に曲折する景観は、印象的なポイントでした。


境川上流の曲折地点で

 その川の曲折ポイントで神奈川県側の「広田地区」へ。付近一帯は、古墳時代から平安時代まで大集落が営まれていた「武蔵岡遺跡」であり、都・県域双方の範囲にかかる広大なものです。その中央に立つと不思議な二つの山=タツゴ山がラクダのこぶのように並んでいるのが見えます。配布資料の画像と見比べながら、みなさんも不思議な景観に見入っておられました。


タツゴ山に見入るみなさま(写真:田邊)


武蔵岡遺跡からタツゴ山を眺める


二つのタツゴ山.。広田・武蔵岡より

 この山は、古代の人たちが“祖先や父母を祀る祖霊山”として、遥拝・信奉されていた可能性があり、「雄龍籠(オタツゴ)山」と「雌龍籠(メタツゴ)山」の名称と共に、雨乞いや龍伝説があります。付近の遺跡や出土物からも渡来系文化の流入を感じる特別な場所です。――そして武相の境目、山地と平野の境目にあたる展望地に立ち、古代のまちづくりに関わった官人も眺めた(?)相模野の素晴らしい景観を楽しみました。


境目の丘からの展望地で(写真:田邊)

 コンビニ休憩後は謎の多い「川尻八幡宮」へ。ここは二十四節気の中の“雨水の日”(2月18日,農業を始める日)に長大な参道(全長1,200m以上)の東端から太陽が昇る不思議があります。ご参加の皆さんも、参道の先に朝日が上がってくる不思議を想像されていたようでした。


長大な参道の延長方向を眺める(川尻八幡宮)


長大な参道の延長方向を眺める(川尻八幡宮)


川尻八幡宮で(写真:田邊)

 社地の「川尻八幡古墳」は天武天皇の子孫が眠るという伝説があり、実際に直刀や鉄鏃、須恵器が掘り出されています。飛鳥時代の高位官僚がこの辺を通っていた可能性を思うとき、東北地方ともつながる「奥州古街道」や「古代甲州道」の存在が頭に浮かんできます

小山・相原に多い古代遺跡の謎などを想像しつつの、歴史ロマンウォーク

 3月31日の渋沢丘陵ウォーキング参加後膝痛が再発し、参加を見合わせていましたが、だいぶ良くなったことと午後からの3時間程度の短いコースだったので、リハビリを兼ねて参加させていただきました。
 今回訪れた川尻・広田地区にはホタルの里・境川巡りなどで散策したことがありましたが、さすがに宮田さんのガイドで歩くと色々な歴史講義を聞いているようで大変面白く、楽しい時間を過ごさせてもらいました。なぜ小山・相原には古代の遺跡が多いのか、なぜ立派な神社・寺院が多いのか等を学び又想像したりして、歴史のロマンを感じる1日でした。
<皆さまにご参考まで>
 今回途中までしか行かなかった神秘の森「春日神社」ですが,グーグルマップで「川尻春日神社」を探すと写真も見つかります。著作権があるかもしれないのでここには掲載しませんが、すぐに見つかりますのでご興味のある方はトライしてみて下さい。
 「ホタルの里」は、保存会の方々が、がんばっているおかげでホタルは多く見られます。ただホタルを見るには夜(19時以降)行かなければなりませんが、あの辺はかなり暗く、バス停に戻る道をよく覚えていかないと迷子になってしまい大変です。私は帰り道が良くわからなくなり、皆さんとトイレ休憩で立ち寄ったセブンイレブンで道を聞いたのですが、町田街道はあまり詳しくないようで、教えてもらったのは相原十字路(お分かりにならないかもしれませんが)迄の道でした。30分位歩いたでしょうか、雨は降ってくるし街灯が少なく暗いしで大変でした。ご注意を!
(文;鈴木弘)


広田地区の田んぼを歩く(写真:田邊)
2024.06.16 19:23 | 固定リンク | フットパス
他のまちのフットパスをみてみよう フットパスの新段階地域ごとに「つどい」を
2024.05.16
他のまちのフットパスをみてみよう フットパスの新段階地域ごとに「つどい」を
[ 講師:神谷 由紀子 ]

各地からの参加が地域活性化の応援に

5月16日(木)~17日(金)天気:曇のち晴 参加者:2名

 フットパス協会のコロナ以後の新しい試みとして、5月16,17日に行われた新潟の「浦佐フットパスのつどい」は大成功を収めました。年一回だけの全国大会では交流機会が足りず、 地域ごとの「ミニ集い」が検討されています。浦佐のフットパスはその最初の実験です。
 詳細は【浦佐フットパス|体験ツアー編関東・東北のミニ集い/2024.5.16】
https://youtu.be/q4flY2ywAXo?si=ZJ8Mo76Fo_VWmQcg
および続編の【セミナー編】でご覧ください。

 北海道のエコネットワークの浦佐訪問をきっかけに、まず東北地方及び関東地方でさっと集まれるグループで東北支部の「ミニ集い」をやってみようということになりました。北海道のグループの他に、福島県西郷村の北浦さん、福島の山尾さん、歴史古街道団の鶴巻さん、「みどりのゆび」から伊藤さん、神谷、そして「フットパス協会」から尾留川さんが参加しました。


フットパス関東・東北のミニ集い

 1日目は越後三山など浦佐の絶景が続くフットパスメインコースでしたが、主力ガイドの皆さんのそれぞれの人生と地域に根差す暮らしに基づいた説明が穏やかで豊かで、いかにもフットパスらしいご案内でした。夜にはセミナーが開催され、各地域からのエールだけでなく南魚沼市や新潟県担当者から力強い支援の言葉がありました。
 2日目は地元の関さんに浦佐の街中を初めてゆっくりご案内いただき、内陸にありながら昔は長井市と同じように水運のまちであったことに驚きました。小さなまちなはずなのにもっとゆっくり見てみたり皆さんと話してみたい、また訪れたいと思える地域でした。
 「浦佐まちづくり協議会」の関さんと川上さんが徹夜しながらたった10年ほどの間にフットパスをいくつも開発し、立ち寄り拠点をいくつも創り、会館を新開店し、地域に層の厚い協力的な人々の組織を創り上げてきたということが隅々までよくわかりました。二人とも元は行政職員だったこともあり南魚沼市さらには新潟県から強力な支援まで取り付け、「つどい」を開催できるまでに成長していたということに本当に驚きました。改めて地域力というものを実感しました。どのような地域にも有能な人材がいます。フットパスはこのような人材が活躍しやすい環境を作ることができるものだと改めて理解しました。
 浦佐のように各地にはそれぞれしっかりした人材が創っているフットパスがあり、いつでも「つどい」が開催できるほどに育っています。このような地域がつどいを重ねることによって相互にもっと多くの交流機会を重ねることで、これからの地域活性化の根幹となることと信じています。今回の浦佐の実験はそのことを非常に明確にしたものでした。


巻機山


越後三山(写真:伊藤)


難関部分も楽しい


ミヤマエンレイソウも発見!


昔は魚野川を利用した水運商業地:船着き場


浦佐フットパス道標
(写真:伊藤)


浦佐毘沙門堂(写真:伊藤)

(文と写真:神谷 由紀子)

フットパス関東・東北のミニ集会に参加して

 新潟県南魚沼郡浦佐で行われた関東・東北のミニ集会に参加して来ました。
 浦佐フットパスは、魚沼地域の自然を活用した小さな観光の試験的ツアーとしていますが、内容はとても濃いものでした。特にガイド役を歴史や逸話に詳しい地元の方々がつとめ、知識が豊富で地元愛に溢れている様子が伺えました。またコースがコンパクトで見所が多く分かり易かったです。携わる方々の想いが参加者に伝わることが大切ですね。
 参加者は31名で、各地のフットパス団体、地元新潟県の行政機関の方々と幅広い顔ぶれでした。これも主催者である「浦佐地域づくり協議会」の方々の努力の賜物と思います。交流会では、地酒八海山が振る舞われ、ほろ酔い気分で想いや課題を語り合えたことは有意義でした。
 新潟県南魚沼では、コシヒカリの産地としてのブランド力向上と交流人口数の拡大を目的とした食のキャンペーン「南魚沼、本気丼 (マジどん)」を実施しているとのこと。
 浦佐には、美味しいご飯を食べる楽しみもあり、また行ってみたいと強く思いました。


田植えを待つコシヒカリの苗。美味しいお米はここから


南魚沼、本気丼(マジどん)

(文と写真:伊藤 右学)
2024.05.16 18:17 | 固定リンク | フットパス
フットパス専門家講座 美の基準のある真鶴 背戸道風景を巡る
2024.05.16
フットパス専門家講座 美の基準のある真鶴 背戸道風景を巡る
[ 講師:浅黄 美彦 ]

「背戸道」と呼ばれる路地を歩きながら真鶴の魅力的な生活風景を巡りました
5月16日(木) 天気:曇参加者:11名

 10時に東海道線「真鶴」駅に集合、それだけでなんだか旅に来た気分。戦前の駅舎の前で、「今日のコースでは、海、坂道、みかんの木、古い家あるいは点在する空き家を利活用した移住者のお店を訪ねながら、自然地形の残る真鶴のランドスケープを感じていただきます」とコースのアウトラインを説明し、スタートしました。
 まずは「本と美容室」を訪 ねる。真鶴では、車が通れない路地や坂道のことを「背戸道」(せとみち)と呼びます。その背戸道を上りきった丘の上に、古い平屋の木造住宅を改装したものが本と美容室です,生け垣と広い庭が心地よいお店です。外観だけ眺めるつもりが、声をかけていただき内部を見ることができました。髪を切る部屋の奥のほうに本がたくさん置かれている部屋があり、窓からの光がちょうど入り、窓辺で本が読め、珈琲も味わうことができる癒される場所がつくられている印象でした。


本と美容室外観


本と美容室内部

 次に訪ねたのは「真鶴出版」。木曜日はお休みなので外観のみですが、背戸道沿いの空き家を、真鶴町の「美の基準」にそって、自らの移住の意味に想いを馳せながら、建築家(トミト・アーキテクチャー)との協働で造り上げた「泊まれる出版社」です。


真鶴出版

 さらに背戸道のアップダウンを歩き、石工の碑や丘からの海を眺め、真鶴らしい風景を楽しみました。


石工の碑階段前での集合写真

 若い移住者が営む店の締めくくりは、「パン屋秋日和」。2019年にご夫婦で開業したパン屋さん。11時の開店に合わせてやってきました。外観も接客もほのぼのとして真鶴時間を感じさせるお店でした。山食パン、ラムレーズンなど、みなさん買い物も楽しんでいただきました。


パン屋秋日和

 午前中の最後は、真鶴フットパスのもうひとつの目的、美の基準に基づき造られた渾身の公共施設「コミュニティ真鶴」の見学です。財政難の折りなのか開館日が少なくなり、まさかの休館は残念でした。ただ敷地内には自由に入ることができるため、中庭、背戸道との関係などを間近に見ることはできました。1994年竣工、設計は美の条例にも関与していた建築家・池上修一さん。


コミュニティ真鶴

 コミュニティ真鶴から昔ながらの商店街を歩きながら港へ。西仲商店街は住民のための商店街で、のんびりとした空気と懐かしい風景があります。床屋、美容室が多い真鶴の中でも一押しの床屋がありました。


真鶴の床屋

 昼食は港にある「真鶴魚座」で和気あいあいで魚介をいただきました。
 満腹となり、午後はのんびりとお土産の干物などを買いつつ、岩海岸に向かい、途中いくつかの道祖神、高台からの海を眺めつつ、鄙びた岩海岸を訪ねました。あまり観光地には立ち寄らず、真鶴のふつうの風景を歩くフットパスでした。
 真鶴駅近くの「あけびや珈琲店」の前で解散。


真鶴魚座前
(文と写真:浅黄美彦・田邊)

「美の基準」の実感にワクワク

 「みどりのゆび」のフットパスには今年度からの参加ですが、今回は真鶴の街中を中心に回りました。集合時間の朝10時、天気は雨が降りそうな曇り空でしたが午後からは晴天となり、景色も堪能できました。
 20年以上前に車で岬の方をぐるりと回って以来2度目の真鶴でしたが、今回はお約束のところではなく街中をじっくりと歩きました。
 見て回って思ったことは、アップダウンのある場所に昔からの住宅が残っていることと、その中にリノベーションにより雰囲気の良くなった店舗が予想以上に目についたことでした。
 午前中はリノベーションされた店舗や特徴のある建物を中心に見て回り、そのセンスに驚きました。外観だけでなく中も素晴らしく,「ここが真鶴なのか」とさえ思えました。特に「本と美容室」さんでは、中まで見学させていただき、おしゃれだなと実感しました。
 道は登り下りがやや大変でしたが、次はどんなお店があるのかと思うと、大変さも吹き飛ぶようなワクワク感がありました。午後は景色がよく見えるところを通りながら「岩海水浴場」まで足を伸ばしました。
 お土産として地元で有名なパン屋や干物屋も巡
り、おみやげもバッチリでした。
 解散後に地元の喫茶店でケーキセットをみんなで堪能し、良い締めくくりになりました。


本と美容室入口ドア


真鶴道路岩大橋


岩海水浴場あけびや珈琲

(文:太田義博写真:田邊)
2024.05.16 17:47 | 固定リンク | フットパス
小野路のフットパスコースをみてみよう
2024.04.20
小野路のフットパスコースをみてみよう新会員が増え、改めてフットパスの原点である小野路コースを歩きます
[ 講師:田邊 博仁]

布田道、里山、小野路宿場街、小野路城址を訪ねる
4月20日(土) 天気:晴参加者:15名

 最近、ありがたいことに、新入会員さまが、増えてきました。「みどりのゆび」のフットパス発祥の地「小野路宿」と「小野路城」の二つのコースマップを見ながら、ご案内をしました。
 スタート時に、フットパス(目、口、頭を重視の文科系)とウォーキング(下半身重視の体育会系)の「歩き」の違い、また、「小野路宿緑地」では「みどりのゆび」の歩みをご紹介しました。

 別所バス停をスタート、江戸時代からの「布田道」、近藤勇らが出稽古に通った道ですと古道談義をしながら進み、二股の道を小野路宿へ。


美しい竹林と気持ちの良い布田道を歩く(写真:浅黄)

 休耕田と「みどりのゆび」が管理を行っている「小野路宿緑地」へ出る。休耕田の一部再生や緑地管理、「みどりのゆび」の歩みも紹介。


「小野路宿緑地」にて(写真:浅黄)

 再び、二股へ戻り、道標「妙桜寺」の道を進み、多摩丘陵らしい山々の緑と野菜畑の里山風景を歩く。途中で落ちていたムクロジの種子で石鹸代わりの泡立てをペットボトルで披露。恵泉女学園大学の実習農場と大学校舎の横を歩き、「一本杉公園」へ、ここで一休みして「もぐもぐタイム」を。


一本杉公園で「もぐもぐタイムで」で一休み

 一本杉公園に残る徳川家康の神霊を久能山から日光へ運んだ「御尊櫃御成道(ごそんひつおなりみち)」の古道跡を紹介し、鎌倉街道の道を下り、布田道と交差地点の「関屋の切り通し」へ出る。


昔からの生活道の雰囲気がある鎌倉街道を歩く


重厚な雰囲気に囲まれた「関屋の切り通し」

 小野路で有名な「ピアノカフェ・ショパン」に立ち寄り、「小野路宿里山交流館」にて、定番の「うどん定食」をいただきました。


多くの若手ピアニストを育てた「ピアノカフェ・ショパン」の前で


昼食後「小野路宿里山交流館」の長屋門前で

 午後は、「小野神社」、「六地蔵」を巡り、「図師小野路歴史環境保全地域」内を歩きながら「小町井戸」、「小野路城址跡」をご案内。そして里山の自然が残る「奈良ばい谷戸」をご案内。再び、小野路宿里山交流館へ戻り解散しました。


六地蔵前にて

(文と写真:田邊 博仁)


歩くたびに新しい発見と驚きのある小野路

 天気はまぁまぁ晴れ。ポカポカとした陽気は、暑すぎず寒すぎず羽虫の類もまだまだ少ないウォーク日和。田邊さんの案内でよく喋って笑って、たくさん道草をしたフットパスらしいイベントでした。偶然行き会った人の「(カフェ)モーツァルトに行きたい」との言葉に、「ショパンですね」と言葉を引き取った田邊さんのナイスプレイに大笑いさせていただきました。


ガイドの田邊氏

 ソメイヨシノは終わっていましたが、ナノハナは満開を少し過ぎてトウを伸ばした頃合い。ハルジョオンやキンラン、ショウジョウバカマなどピンク白紫黄色の様々な花が咲いていて、ちょうど参加していた横山さんに色々と教えていただけたのは有難く、春らしい花々と新緑の空気を満喫できました。

 福島から参加した今回の歩きで、新しく果樹や野菜の木村さんの畑、牛牧場、小野路宿里山交流館でタケノコの姿寿司を知ることができました。特にタケノコの姿寿司は再訪して食べたくなる魅力がありました。

 今回のイベント自体は特に「みどりのゆび」に新しく加わった会員さん向けに開催したとの話でしたが、小野路は歩くたびに新しい発見と驚きがあり、季節やガイド、一緒に歩く人で印象が変わる、何度歩いても尽きない面白さがありますから、今年も来年もまた歩きに来ようと思いました。




小野路宿里山交流館のうどん定食とタケノコの姿寿司

(文と写真:北浦 鑑久)
2024.04.20 17:28 | 固定リンク | フットパス
他のまちのフットパスをみてみよう桜の渋沢丘陵と丹沢の雄大な景色を楽しむ
2024.03.31
他のまちのフットパスをみてみよう桜の渋沢丘陵と丹沢の雄大な景色を楽しむ
[ 講師:田邊 博仁 ]

秦野の桜と湧水群、自然の神秘な「震生湖」と「渋沢丘陵」を歩く
3月31日(日) 天気:晴参加者:21名


 丹沢山地と渋沢丘陵に囲まれた秦野は、神奈川県唯一の典型的な盆地であり、地下は「天然の水がめ(約7億5千万トン、芦ノ湖の水量の約4.1倍)」となり、多くの湧水が見られます。この「秦野盆地湧水群」は「昭和の名水百選(昭和60年)」に選定され、また、地下水をボトリングした「おいしい秦野の水」が「おいしさが素晴らしい名水部門」で全国1位(平成28年)に選ばれました。
 秦野駅から、まず、有名な伝説の残る「弘法の清水」を訪ねました。古代から利用されてきましたが、1989 年に地下水汚染が報道され、秦野市は国内初の地下水汚染防止条例を制定、改善に取り組みます。2004年には、環境基準を恒常的に下回ったことで「名水復活宣言」を遂げ、今年で20周年を迎えました。


古代から利用されてきた「弘法の清水」と復活宣言の碑

 次に「室川」を訪ねました。秦野盆地湧水群は盆地南東の渋沢断層のこの室川付近に集中しています。約4万年前の渋沢丘陵(大磯丘陵)の隆起によって、南に向かって流れていた室川は、現在の東へ流れを変えました。
 次に「今泉名水桜公園」を訪ねました。桜と名水をコンセプトとした公園の基本構想は、建築家の安藤忠雄氏によるものです。ほぼ一年を通して桜を楽しめるように開花時期の異なる18種類の桜が植えられています。今回は早咲きのコヒガンザクラが咲いていました。


渋沢丘陵の隆起によって流れが規制された「室川」


「今泉名水桜公園」にて、コヒガンザクラ前で

 次に「まいまいの泉」を訪ねました。ここは地下水の監視用に掘られた井戸を利用して、地下20mから地下水を自噴させています。持参した紙コップで試飲を。私はコーヒー用にペットボトルに詰めました、多くの市民に利用されています。


公共の水場、形状がカタツムリに似ている「まいまい泉」

 次は「白笹稲荷神社」です。赤色の大きな鳥居があり、「関東三大稲荷」の一つです。拝殿の天井絵は圧巻でした。格天井150枚の竜神様、風水四神など見ごたえがありました。
 「震生湖入口」交差点から畑道を登っていくと、周囲にさえぎるものが全くなく、秦野市街が一望。そして、丹沢の山並みを真正面に見ることのできる雄大な景色が広がります。


雄大な丹沢山地の眺望を楽しむ

 尾根道からの眺望を楽しみながら、「震生湖」へ下ります。関東大震災で誕生した湖です。地滑りの起こった跡を見て、震生湖畔で昼食タイムです。2021年に文化庁の国登録記念物に登録された記念碑が立ち、地形図や写真も掲載されています。


震生湖、桜が咲き出しました

 震生湖から渋沢丘陵の尾根道を歩きました。標高200m程度のなだらかな丘陵です。渋沢丘陵を下り渋沢駅へ向かう途中で、早咲きのソメイヨシノに、「やっと!」出合え、みなさまから、感嘆の声が。テーマの“桜の渋沢丘陵”がご覧いただけてほっといたしました。


最後に、“桜の渋沢丘陵“に、出合えました

(文と写真:田邊 博仁)

フットパス・渋沢丘陵に参加して、「最後に驚きのフィナーレが」

 昨年春から町田市の「里山ウォーキング」に参加して、会員の横山さんから「みどりのゆび」を紹介され、今回は田邊さんの「かつての野麦峠(11/30)」以来の2回目参加でした。
 3月31日は例年なら関東では桜の満開の時期、まして日曜日なので賑わっているはずでしたが、 今年は開花が非常に遅れていました。
 秦野市はたばこの栽培が盛んと聞いていましたが、名水百選「秦野盆地湧水群」が制定されて市内各地に湧き出ていることを知り驚きました。
「弘法の清水」など湧水スポットを巡り、おいしさ部門全国1位に選ばれたというボトルドウォーター「おいしい秦野の水~」を味わうこともできました。
 昨年が、発生から100年の節目だった関東大震災で滑落した土砂が川を堰き止めて誕生したという「震生湖」。寺田虎彦の句碑と「地震の規模の大きさを伝える貴重な地質遺産」と書かれた案内文に納得。
 県道沿いの長さ6キロ以上に続く桜並木「はだの桜みち」は、まだつぼみでしたが高いところから俯瞰して見ると、長い桜のアーチが想像できました。機会があったら、満開の時期に来てみたい。
 まもなくゴールとなる渋沢駅少し手前に驚きのフィナーレが隠されていました。満開のソメイヨシノに巡り合ったのでした。参加者の歓声が上がりました。桜吹雪も体感でき大満足のフットパスでした。巧みな演出をしていただいた講師の田邊さんありがとうございました。


大山と桜


満開の桜

(文と写真:香丸 宏)



2024.03.31 16:45 | 固定リンク | フットパス